結縁の帯けちえんのおび 二葉神社
女性を見守るお社で、
願い事の成就を祈願し、
帯を結びます。
結縁乃帯(けちえんのおび)
神仏習合の山、法多山には少し変わった来歴の神社があります。

神社の名前は「二葉神社」。
鐘楼堂近く、細い小道に連なる赤い鳥居の奥にひっそりと佇む、小さなお社です。
「二葉神社」に向かって美しい木々に囲まれた赤い鳥居の下を進んでいくと、色とりどりの帯が風にそよいでいます。
この美しい帯での願掛けが「結縁乃帯(けちえんのおび)」。

かつて流行の最先端であった芸妓など風流を愛する女性たちの間では、恋する人の名前や願い事をしたためた紙や布をお寺や神社の境内に結ぶ願掛けが流行していたそうです。そんないにしえの風流な願掛け「結縁乃帯(けちえんのおび)」が、女性の守り神である「二葉神社」のもとで今日も続けられています。
縁結びとは
私たちが日ごろ使う「縁結び」という言葉は仏教に由来するもので、もともとは「結縁(けちえん)」といい、仏様が我々に救いの手を差し伸べてくださることを意味し、転じて私たちが仏縁を得ることでした。

時代が下るにつれて、「仏縁を頂く=ご利益を得る」に変じ、特に近世以降は恋愛の縁を結ぶという「縁結び」を意味するようになったといわれています。
二葉神社
二葉神社は、戦前、浜松市の鴨江二葉町にあった『二葉遊郭』と呼ばれる場所に祀られていたもので、そこで働く芸妓や娼妓、カフェーの女給たちがお金を出し合い建立されたもの。

遊郭の守護神社であると同時に、かつて浜松の夜の社交界を華やかに彩った「働く女性」の守り神でもあったのです。

戦前、戦後と賑わいをみせてきた『二葉遊郭』は昭和三十一年に解体を余儀なくされましたが、信心深い彼女たちが「このお社は安住できる場所へ」と法多山へ移されました。

激動の時代、女性を見守り続けてきた社は、鐘楼堂の陰に隠れるように今もそっと佇んでいます。
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