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在りし日のだんご茶屋から
お寺のあり方に想いをはせる
法多山の名物のひとつに『厄除だんご』があります。今や参拝に訪れたほとんどの人が買っていくほどの人気ぶりですが、ことの始まりは江戸幕府十三代将軍徳川家定公のころ。 法多山に住んでいた石川八左衛門が手作りのだんごを献上したことが発端です。その味を気に入った家定公が「串だんご」と命名。以来、法多山になくてはならない味となっています。
今でこそ、厄除だんごは1か所で販売されていますが、組合ができる昭和41年以前はそうではありませんでした。 境内に小さなだんご茶屋が15軒も立ち並び、競うようにだんごを売っていました。形はどこも、今と変わらぬあの形状。しかし、味やサービスは店ごとに異なります。 当時、お気に入りのだんご茶屋へ立ち寄ることが、参拝の楽しみとなっていました。
境内の美しい景観を眺めながらだんごを食べた人もいたでしょう。江戸からやってきた旅芸人の芸を楽しみながら、食べた人もいたかもしれません。 寺に行けばおいしいものが食べられる、寺に行けば楽しいことがある、『寺』とは本来そういう場所でした。人が出会い、楽しみ、学べる、地域の“縁”の中心地だったのです。
人と人が交わり、新しい文化が生まれる場所…法多山は、そんな『寺』本来の存在であり続けたいと考えます。 そしてその想いはこれからもずっと変わることはありません。法多山のだんごが、今も昔と変わらず多くの人に愛されているのと同じように。
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