弁才天堂
技芸上達、学業成就にご利益のある弁才天さまをおまつりしています。弁財天とも呼ばれることから商売繁盛、金運上昇にもご利益があるとされます。 元来はインドの河の女神であったため、川や池のほとりに堂宇が建立され、ここ法多山でも静かな池の中に浮かぶ島にお堂がまつられています。
弁才天さま、通称:弁天様はもともとインドの神様「サラスヴァティー」に由緒をもち、川は神格化されることが多く、その多くは女神とされます。仏教の発祥の地、インドでは、ガンジス川の「ガンガー・デーヴィス」というガンジス川の女神が有名です。
インドの聖典「リグ・ヴェーダ」などに出てくる、幻のサラスヴァティー川という川を神格化した女神さまが、弁才天・弁財天となり、弁天様と親しまれるようになりました。
水、川の神は「豊穣」「農業」の神様であることが多く、弁天様は豊穣をつかさどる水の女神として親しまれ、次第に芸術・学問などの知を司る女神とされていきました。
おまつりされる場所は川や海、池のほとりや池や海の中の浮島など、水に関係する地にまつられる神様です。
弁天様の漢字は二種類あります。
弁才天、「才」の文字を使われる場合は、音楽や芸能、言語の神様とされ、川の流れる音が言語や音楽、楽器をひく弁才天は芸能や才能にご利益がある神さまとして親しまれます。
一方、弁財天として財産などに使われる「財」の文字も使われ、中国に伝わってからは「才」=「財」として福の神や財産をもたらす神様的な意味合いの信仰も広がりました。
しかし、弁才天は中国や日本のある時期まで、「戦勝神」という意味が強く、今から千年以上前の日本では、8つの腕を持つ戦勝神としての弁才天が広く信仰されていました。8つの腕に仏の教えを護る為の武器を持つ、戦いの神としての八臂弁財天(八臂〈はっぴ〉=8つの腕)の弁才天はあつい信仰を集め、戦の勝利を祈る武将に古来から信仰されてきました。源頼朝も奥州藤原氏征討(1189年)の際に、江島神社に八臂弁財天を奉納したと伝えられます。
>腕が2本の弁財天の多くは、薄い衣をまとい、琵琶を持つ優美な天女の姿で親しまれているのに対し、腕が8本の八臂型の弁才天は鎧を着て、手には弓矢や斧・鉾など武器を持つ姿で表されます。
1300年の歴史を持つ法多山に残された弁才天は、8つの腕に武器を持つ八臂弁才天であり、菩薩のような姿で表され、江戸時代に制作されたものと伝わります。江戸時代に流行した七福神のイメージである艶やかな美女で描かれる弁財天と違い、日本にもたらされた当初の姿を伝える姿をして当寺に残され、今も信仰を集めています。
現在でも、カメラマンが集まる、美しく山の緑や秋の紅葉を映す鏡のような池に浮かぶ弁才天堂の中には、美しくも勇ましい8つの腕を持つ女神の像がおまつりされています。弁財天堂の格子の中をそっと覗けば、法多山に伝わるふくよかな菩薩のような表情と、その武器を携えた8つの腕を持つ弁才天様のお姿をご覧頂けます。受験の合格、学問、芸術の成就や才能開花、芸能上達、財産や商売金運の上昇など、弁才天堂にかけられた石橋を渡り、今も多くの方が弁才天様にお祈りする方が絶えません。