本堂でお参りを済ませた参拝者が、山を降りる際に使う小道があります。本堂をみて左、大師堂から降りる階段の途中に見えてくる鐘楼堂の脇に、赤い小さな鳥居が並ぶエリアがあります。
ここは二葉神社の入り口です。二葉神社は、法多山尊永寺の数多い境内社の中でも独特の存在感をもっています。
1922年(大正11年)から浜松市の鴨江二葉町にあった「二葉遊郭」と呼ばれる場所にまつられていたお社です。そこで働く芸妓(げいこ)やカフェーの女給たちが身銭を切り、お金を出し合い建立されたものでした。
1956年(昭和三十一年)に遊郭が解体された際に、信心深い女性たちが「この神社を安住できる場所へ」という願いと共に、ここ法多山尊永寺に移されました。
激動の時代を生きぬいた女性たちの想いは受け継がれ、現在でも女性の味方の神社として数多くの女性の参拝が絶えません。
二葉神社はどんな時も女性の味方をして下さる神社として今もあり続けています。現在では、二葉神社に向かう鳥居の小道に、美しい色彩の布が飾られています。これは当時の流行の最先端であった芸妓や風流人の女性たちが行った、恋する人や願いをしたためた紙や布を寺社の境内に結ぶ風習からはじまったとされる願掛けの帯です。
現在でも、女性の願いをかなえ、ご縁を結び、願いをかなえる「結縁乃帯(けちえんのおび)」と呼ばれる願掛けに、想いをこめて結ぶ多くの女性が参拝しています。