天に輝く星が人の運命や世の中に作用しているという考え方は古来より伝わります。
もともとは西洋で出来上がった占星が、インドに伝わり、それが仏教の伝来と共に中国に伝わりました。
仏教の中でも比較的インド色の強いとされる密教では、ヒンズーの教えも色濃く残されています。
いわゆる占星術自体は、インドから中国、中国から密教占星術として真言宗の開祖空海により日本に伝わりました。
高野山真言宗、別格本山である法多山尊永寺にも、その教えは伝わり残されています。
星は数多くあるので、「百味御供(ひゃくみおんく)」というさまざまな味、種類のお供え物を祭壇の前に揃えおまつりします。
宿曜経(すくようきょう)というお経には、占星、ホロスコープの事が書かれ、どうやって星をおまつりすればよいか?その星が人の運命にどう作用するか?天上の星の動きと、人の運命に関係が記され、今でも真言宗の寺院では、星をおまつりすることをしっかりと続けています。
例えば五黄土星 六白金星のような、九星(きゅうよう)一白水星 二黒土星 三碧木星 四緑木星 五黄土星 六白金星 七赤金星 八白土星 九紫火星など、
9つの主要な天体と、七曜(日・月・火・水・木・金・土)に羅睺 (らごう) と計都 (けいと) の二星を加えた9つの星(九曜)が、一年の運勢に関わりが深いと伝わります。
平安時代には、陰陽師のように「宿曜師(すくようし)」と呼ばれる専門職が宮中に置かれ、その役割は僧侶が担っていました。
人も星も天の巡りに合わせて動き、火曜星や計都星、羅睺星など、これらの星が9年かけて回ってくると、その年はよくない年とされ、悪いことを良いことに変えるように、その星をお祭りするなどの作法も今に残されています。
弘法大師と呼ばれ今も人々に慕われる、高野山真言宗の開祖空海の教えを色濃く残す法多山尊永寺では、星をまつる寺院として「星祭」をはじめ、「星満夜」など星に関係する多くの祭事や行事を今も執り行っています。